同性同士の入居は難しいって本当?
実際のゲイカップルの「家探し」事情を解説します

ゲイカップルは家を借りることができない?!
こんな悲痛な声も出ていますが、果たしてそれは噂の域なのか、それとも真実なのでしょうか?

今回はLGBTQカップルにとって死活問題になりかねない二人の新生活、同居の問題点について徹底解説していきます。
現在進行形でお付き合いをしている方、そして同棲を考えている方、今はシングルの方もぜひ今回のコラムを参考にしてみてくださいね。

ゲイカップルの入居が厳しい理由を考察

ルームシェアがもはや珍しくなくなってきた日本の住宅事情。友人同士、同じ趣味を分かち合う者で暮らすのは至極自然なことですが、それがゲイ同士の同棲となるとその難度は高くなります。

ここではまず気になるゲイカップルの不動産事情について考えてみたいと思います。

嫌な思いをする入居希望者は少なくない

私が20代の時年上の彼氏と入居希望の際に内見した時、唐突に向けられた「お二人はどのような関係でいらっしゃるのですか?」の問い。
薄笑いを浮かべたその口元にぞっとしたのを覚えています。

随分前の出来事ですが令和の昨今も、性指向を理由に入居を渋られることがあります。
まずなぜゲイカップルの入居難度が高いのかを考えてみましょう。

  1. LGBTQに理解が進めど、まだ未知の世界である
  2. 前例がないがゆえの拒絶
  3. オーナーへの説明が面倒、男性同士だとトラブルが起きそう
  4. 入居希望カップルが詳細説明を渋る

まず不動産業者、営業担当者がゲイカップルの入居に慣れていないこと、そしてそもそもLGBTQに対する知識が不足しているがゆえの拒絶がほとんどです。

例えば男女の未入籍のカップル、つまりは内縁関係の場合では大きな障害にならなくとも、ゲイカップルの場合はオーナーの匙加減でNGに。
そして隣近所とトラブルになるかもしれない、または同性同士の入居は推奨できないと営業担当者が独断で断る場合も非常に多いのが現状です。

一方、「4.」のようなケースは別次元で考えなければなりません。

つまり不動産業者側は入居者がどんな方なのか、二人の続柄は何なのかをクリアにしたいのに、入居希望者側はなるべく自分達の関係を知られたくない一心で「友達/親戚です」と押し通してしまうパターン。

結局ゲイである事実を伝えられず、うやむやな嘘をついてしまうことが、逆に担当者の不信を買うこともあるのです。

いかにLGBTQに理解があって信頼できる不動産業者を見つけられるか、それがゲイカップルの入居前の準備段階。
例えば外国人、水商売やフリーターなど若干難度が高いと考えられる属性の方々向けの入居の実績がある業者を選んでいくことが大切になってきます。

ゲイ同居が敬遠される当事者の行動について

前項で入居希望者の関係性を示すことが、そもそも自分達の性指向をカミングアウトすることになるので、当事者自体が詳細説明を避けてしまうケースを挙げました。

これは一種の自己防衛でもあるので理解ができるのですが、それ以外にも何となくしてしまう言動が大家、不動産業者の担当者の信頼を裏切る形になる場合もあるのです。

よくあるパターンが単身契約であるのにも関わらず、どちらかの家に内緒で転がり込んで同棲をスタートしてしまうケース。
SUUMOの調査によると、40%以上の同性カップルが秘密の同居生活をしたことがあるとの回答を寄せています。

元を辿ればLGBTQの生きづらさや偏見がベースにあるわけですが、この秘密裏の同棲関係は近隣住民やオーナーとの間に軋轢を生むトリガーになる可能性が高いので、きちんとした手順で同居のステップは踏むべきと言えます。

断られる可能性が高いし、この方が楽に同居できるという考えは、最悪の場合賃貸契約解除になる恐れがあるということを肝に銘じておきましょう。

同性パートナーシップを盾にとるという選択肢

考えれば考える程、ゲイカップル同士の同棲に躊躇いが生じてしまいます。
しかしここではポジティブに果たしてどのようにすればより効率よく、そして入居審査にパスできるのか?を一緒に考えていきましょう。

市営、公営住宅を狙うべき理由

皆さんもご存知の通り各自治体のいくつかでは二人の関係性を保証する「同性パートナーシップ」を導入しています。
これらは国単位で認められたものではありませんが、それが認められている自治体では同性カップルの権利が婚姻カップルと同様に認められます。

全てがイコールの関係性ではありませんが、住居入居においてもこの同性パートナーシップが大きな支えになることは間違いありません(勿論条例で認められている場所に限定されますが……)。

また渋谷区、世田谷区、三重県伊賀市などでは、パートナーシップ証明の提示で区営・市営住宅の申込も可能になったこともあり、性指向が大きな障害にならない住居選びのオプションも広がりを見せています。

なおパートナーシップ制度が確立されていない自治体であっても、神奈川県のようにパートナーシップの提示ができれば公営住宅への入居申込を受け付けるところも出てきており、全国規模でその取り組みが活性化しているのです。

勿論公営住宅への入居以外にも同性パートナーとして認められることで、通常の不動産業者との賃貸契約の際に理解を得やすくなる為、同棲を考えている方はそれを機に同性パートナーシップを申請することも念頭におくといいかもしれません。

ゲイフレンドリーの業者を探そう

ゲイフレンドリー、つまりLGBTQフレンドリーですね。
ホテルなどで多用される言葉ですが、最近は不動産関連でもゲイフレンドリーを謳うところが増えてきました。

これは大手だけでなく個人経営の不動産業者に関しても同様で、今まで関心の対象外であったゲイを含むLGBTQにとっての衣食住の住にスポットライトが当たり始めたことがわかる吉報です。

これらの不動産業者は主にマイノリティによりそうだけでなく、置かれている立場をよく理解しています。

2018年に成立した人権保護条例がその後押しになったとも言えます。
またこれらの不動産業者は比較的若い投資家やオーナーの物件も多く扱っていることもあって、よりLGBTQに理解が得られているようです。

何度もいうように全ての不動産業者、オーナーがゲイオープンであるとは限りません。
前項でもお話しましたが、いかに幅広い属性への理解が伴っている、そして賃貸契約実績がある業者を選んでいけるのかが同棲生活のスタート地点になっていくと言えるのです。

まとめ

確実に時間の流れを感じる結果となりました。勿論不動産業者、オーナーの中にはゲイカップルの入居に対してネガティブな感情を抱くケースもあると思いますが、それでも10年、20年前と比べたらずっとゲイカップルへの入居の門戸は広がってきています。

くどいですが、虚偽の報告はしない、どちらかの入居先へオーナー、不動産業者に内緒で住まない、または又貸しで借りないなどの基本ルールは徹底的に守る必要があります。

思っている以上にLGBTQに寄り添った不動産業者は増えてきていますが、身近にある業者が全てゲイフレンドリーであるとは限らないので、まずは適した不動産業者選びをするところから始めてみましょう。

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この記事を書いた人

橋本ウサ太郎

橋本ウサ太郎
新宿二丁目の元バーマネジャー、海外放浪の末、年下スペイン人男性と同性婚。
スペインの田舎町で悶々とした日々を送りながら平和に暮らすゲイ。
アメリカでの代理母出産により二人パパになる予定の三十路ライター。
好きな言葉は、「ペンは剣よりも強し」。

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