ゲイカップルから独身男性まで、
代理出産で子どもを持てる国について
ゲイカップルが子どもを持ち、育児をする。
まだまだ日本では一般的とは言えない家族形態ですが、それでも子育てを夢見るゲイカップルは意外といるものです。
養子縁組、シングルマザーを介した交流やレズビアン女性と協力して子育てをするゲイカップルもいますが、最近は自分の子ども(もしくはパートナーの子ども)を持つために代理出産に挑むケースが増えてきました。
今回はゲイカップルが利用できる代理出産をピックアップ。
まずは、どこの国でゲイカップルが代理出産プログラムを利用できるのかをまとめていきたいと思います。
将来的に子育てを視野に入れている方はぜひ参考にしてみてください。
ゲイカップルが利用できる代理出産プログラムは限局的
2人の父親と子ども達、きっとあと20~30年後にはそんな家族はもっともっと身近な存在になってくるのでしょう。勿論現在もゲイカップルが代理出産を通して子どもを持ち、育児をしているケースはありますが、そのためには山のように高いハードルを超える必要があります。
まず代理出産ができる国自体が少なく、一方で金銭的な負担が非常に大きいこと。
なおかつ、日本人が父親になる場合は自動的に日本国籍を子どもに付与できないなど、考慮しなければならない問題が次から次に出てきます。
今回の記事では代理出産の仕組みや手順ではなく、どの国でゲイカップルが代理出産プログラムを利用できるのかを解説していくのでぜひ最後までお読みください。
代理出産が合法な国でもゲイは排除されるケースが多いって本当?
代理出産はゲイカップルが自身の(もしくはパートナーの)DNAの子どもを持てる合理的な手段の1つです。
日本では勿論代理出産は非合法ですが、LGBTQフレンドリーの風潮がある欧米各国においても、代理出産に関する扱いは足並みが揃いません。
つまり代理出産が可能な国は複数あるものの、その全てがゲイカップルを対象にしたものとは限らないということです。ここでは代理出産において誤解されがちな法整備に着目していきたいと思います。
代理出産が利用できる国の大半は異性カップルに向けたサービス
日本では法整備が整っておらず、なおかつ倫理的な側面から代理出産については非合法であり、日本国内で代理母を介した出産は不可能です。つまり代理出産を希望する方はシングル、カップルであれ必然的に海外の代理出産プログラムを利用する必要があるわけです。
代理出産には『金銭の受け渡しのない非商業的な代理出産』と『代理母と依頼者の間に金銭の受け渡しが発生する商業的代理出産』の2パターンがあります。そして外国人にも門戸を開いている代理出産プログラムは、基本的に異性カップルに向けられたものが大半です。
代理出産自体は合法であっても利用者が独身の男女、異性カップルを対象に法整備をしているケースが多く、その場合ゲイカップルの利用は出来ません。
その例として、
- ロシア
- ウクライナ
- ジョージア
などが挙げられます。
これらの国は比較的費用を抑えた代理出産プログラムを用意していますが、そもそもゲイ男性の利用は出来ません(ウクライナ、ロシア間の戦争により、現在両国での代理出産プログラムは推称できません)
ヨーロッパ、イスラエルの代理出産事情
LGBTQ先進国のヨーロッパについてですが、代理出産についてはどの国も法律の整備が進んでいない印象です。
そもそも、同性結婚やシビルユニオンが認められている国々は特別養子縁組を容認しているケースも多いのですが、それらの国でも代理出産については禁止している場合が少なくありません。
ただし代理出産を問答無用に禁止しているというよりは、条件付きで認めている国もあります。例えばイギリスなどがいい例でしょう。
つまり代理出産をするにあたり、金銭の受け渡しが一切ない場合(姉妹や親戚、親友がボランティアの一環として代理母になってくれる例など)です。
しかし、そのような恩恵に預かれるゲイカップルはほとんどいない為、希望者はゲイの代理出産が可能な国への渡航を考えるようになります。
ヨーロッパではコロコロと法律が変わる傾向がありますが、代理出産についても例えばポルトガルがLGBTQの代理出産を認める決定をしたとニュースになっても実際はレズビアン女性が対象だったりと、我々ゲイ男性にとっては期待外れになることが多いです。
なお、イスラエルに関しては元々代理出産は合法でしたが、最近ゲイ男性でも代理出産プログラムを利用できるようになりました。しかしながら外国人男性は対象外なので、必然的に利用可能なゲイ男性は限られてしまいます。
2022年現在、日本人ゲイカップルが利用できる国とは
私を含め日本人ゲイで子どもを持ちたいと思う方は意外に多いと思います。
しかし前述のようにシングルのゲイ、ゲイカップルが代理出産を通して子どもを持つには様々な制約があり、そもそも利用可能な選択肢は非常に少ないのが現実です。
ここでは2022年5月現在、ゲイカップルが代理出産プログラムを利用できる国を紹介していくのでぜひ参考にしてみてください。
代理出産大国アメリカのケース
さて、シングルのゲイ男性、ゲイカップルでも利用できる代理出産プログラムを用意している国のひとつは皆さんもご存知のアメリカです。アメリカの場合はジェンダーによる代理出産プログラム利用に制限を加えていない為、多くのゲイカップルがアメリカに渡ります。
ただしアメリカはそもそも州によって法律が大きく異なり、代理出産が可能な州はカリフォルニア、ジョージア、ネバダ州など限局的です。アメリカ国内でも代理出産についての許容度はバラバラですが、前述の州は特に多くの実績を誇っています。
アメリカの場合は医療レベルが非常に高く、なおかつ出生主義によりアメリカで生まれた子どもは自動的にアメリカ国籍を取得できることなどがメリットと言えます。
また卵子提供者の人種も日本人を含むアジア人から、白人、黒人、ラテン系などそれぞれのルーツに沿った卵子提供も可能です。
一方でデメリットはと言えば、利用プログラムの料金が非常に高額なこと。
ベースになるプログラム料金に保険、ペーパーワークに弁護士代、医学検査などを合計すると1,500~3,000万円程度の出費が必要になります。
あまりの高額な費用により、アメリカでの代理出産を諦めなければならないゲイカップルは少なくありません。
なお、同じ北米のカナダに関しても商業的な代理出産が認められています。
しかしながら蓋を開けてみると、プログラムが利用できるまで数年待ちなど時間的な猶予が必要になること、またアメリカほど豊富な実績がないため一般的な選択肢とはいえません。
アメリカより経済的?メキシコのケース
現時点で商業的代理出産が可能で多くのゲイカップルが渡航している国、それは中米のメキシコです。メキシコについては全州で合法というより代理出産を生殖医療の一つと捉えて法的に保護しているので代理出産を利用できる環境が整った州は限局している状態になります。
以前はタバスコ州で代理出産が可能でしたが、外国人による代理出産プログラムの利用が出来なくなってしまいました。
その後最高裁判所により代理出産プログラムが法的に違法ではないと認められ、2022年5月時点では首都メキシコシティーで代理出産が可能です。
※メキシコでは代理出産可能な州が継続的に増えると考えられるが、現時点ではメキシコシティーが実績の面で優勢
さて、メキシコシティーで代理出産を行うメリットとして挙げられるのが以下です。
- アメリカの半額以上の費用でプログラムが利用可能
- 代理出産の実績は意外に高く、アメリカに比べて包括的なプログラムを用意している
兎にも角にも経済的な面が一番のメリットと言えますね。
現在メキシコには子どもはほしいけれど、そこまで経済的に余裕がないというカップルの受け皿になっており、ドイツや北欧、また同じスペイン語圏であるスペインからのゲイカップルの利用が非常に多くなっています。
なお生まれる子どもはメキシコ国籍になり、父親の国の法律によっては父親の母国の国籍も手続きを踏んだ上で取得も可能です。基本的にメキシコでは出産経験のある既婚女性が代理母になる為、日本の法律上日本国籍の取得は難しくなります。
まとめ
どの国で代理出産をするにしても、代理母に関する法的な保護、そしてその費用やプログラム、子どもの国籍の問題など様々な点からリサーチし、適切な国選びをする必要があります。
現時点でゲイカップルが代理出産を利用できる国はアメリカ、メキシコ(+カナダ)と限られた選択肢しかありません。
今後いつ法律が改定されるかもわかりませんので、今まで合法であったゲイカップルへの代理出産プログラムが禁止になることも考えられますし、ヨーロッパ、南米などの国がジェンダーを問わない商業的代理出産を将来的に合法化するかもしれません。
しかし、スペイン国内でヨーロッパにおける商業的代理出産の合法化を10年近く期待してきた私としては、LGBTQ大国の欧州であっても急進的な代理出産可決に動くことは考えにくいと踏んでいます。
光陰矢の如しタイミングを掴むことは難しいのですが、待つことで逆にチャンスを逃すこともあるので、代理出産を考えているゲイカップルの方は自身の年齢や経済力を鑑みて、適切なタイミングで決断することも大切です。
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