急増中のノンバイナリーとは?
その意味や終わらぬ性の多様性についてを解説
ノンバイナリー、皆さんの中でもこの言葉を聞いたことがあるという方は、きっといるはずです。
あまり意識はしないと思いますが、性別による制限のない性自認を持つ方は昨今急増しています。
ここではノンバイナリーという定義と類義語について解説していきたいと思います。
なかなか一筋縄ではいかない性自認の裏側を一緒に理解していきましょう。
著名人のカミングアウト続出、ノンバイナリーとはどんな性別なのか
ノンバイナリーという性自認を持つ人々のカミングアウトが止まりません。
特に欧米では自身の性自認に非常に大きなウェートを置く方が多い為、紆余曲折の結果、自分のセクシャリティーをノンバイナリーと判断する傾向も高いようです。
日本ではまだまだ認知度が低いノンバイナリー。
ここではノンバイナリーの定義から類似のセクシュアルティまで、今までなかなか触れることが無かった性の在り方についてを学んでいきたいと思います。
ノンバイナリーの定義は?男でも女でもない性の実態
ノンバイナリーはパンセクシュアルやXジェンダーと同様に昨今日本でも非常によく耳にするようになった言葉の一つ。
性の自認に対する用語は時代が進むにつれて細分化されてきており、正直なところ当事者の私でも上手く説明ができない言葉もあるくらいです。
多様性が叫ばれる中、それらの性自認を理解することは生きやすさを追求する為のスタート地点。
ここではノンバイナリーの定義と社会をテーマに、なるべくわかりやすい言葉で解説をしていきます。
ノンバイナリーとは?
まずノンバイナリーの定義についてお話ししましょう。
英語で説明するとわかりやすいですがノンバイナリーはNon-Binaryと表記され、つまりBinaryではないという意味になります。
このBinaryという単語自体は「二つの、二進法の」などという意味があることから、その逆の意味と捉えてもらえば良いと思います。
ノンバイナリーとは自分の性自認が男性・女性の2つの性では図れない状態、つまり男女という概念に自分の性別が当てはまらないという人のことを指します。
この二元論外の状態は心の性についてを指しますが、実際ノンバイナリーの人々の立ち居振舞いや言動、服装や化粧など表面的に自分の性を表現する部分においても、男性らしさや女性らしさの枠組に入らないスタイルが見受けられます。
ファッション一つを抜き出しても、見た目の性別が男性とも女性とも取れない独特のものを感じるはずです。
なお、ノンバイナリーについては性自認、性表現のどちらもが男性・女性の性が当てはまらないわけですが、性指向としてはストレートである場合もあれば、男性を好きになる、もしくは女性に恋心を抱くパターンも考えられることを付け加えておきましょう。
ノンバイナリーの呼称について
日本においては膨大な数の一人称が存在しますが、さて男性でも女性でもないそんな性別のノンバイナリーの方はどの代名詞を使うべきなのか。
日本の場合は「私」という非常に便利な性別を問わずに使える言葉があり、それが第一選択肢になりますね。
一方で英語ではどうなるのかを考えてみましょう。
この場合には通常「They」が使われるのが一般的です。
実際トランスジェンダーやノンバイナリー、Xジェンダーなどに関しては、性別欄の代名詞に関する記載は非常にデリケート。
ミスマッチした記載をすれば大きな問題にもなりかねない為、通常各々の自認に合わせた人称や性別を適切に選んで使います。
それがそれぞれの生き方に対する尊重と敬意であり、そして新しい社会に対して望まれるべき変化なのです。
なお、この「They」という言葉はメリアム・ウェブスター社の2019年度における今年の言葉として選ばれ、同社の辞書に「They」の正しい意味が追加されて記載されています。
法整備が進む欧米と置いてきぼりの日本
日本でも注目され始めたノンバイナリーという言葉。
歌手の宇多田ヒカルさんのカミングアウトがトリガーになりました。
二度の結婚歴があり子供もいる彼女のノンバイナリー告白には驚きの声や否定的な見解も寄せられましたが、著名人による公表が多様性への理解に繋がることは大きな前進。
しかし男性でも女性でもないという性別の定義に関心が集まれど、それに準じた法的な社会整備は日本ではまだまだ遅れを取っていると言っても過言ではありません。
地方自治体レベルでは行政書類の性別欄を設けない、または記入を任意にするケースがありますが、まだまだ条例での施行に留まっています。
一方でドイツやオーストリア、オーストラリア、ニュージーランド、インド、パキスタンなどでは、出生証明やパスポートの性別欄で男女以外の性別を選択可能です。
日本では江戸時代に御稚児さん文化がありましたね。
武士社会における女性的な役割を持っていた特殊な存在でした。
インドなどにもヒジュラと呼ばれる第三の性を持つ人たちがおり、彼らの存在をアイデンティティとして法律で保護しています。
ノンバイナリーに似た意味を持つ性自認について
ノンバイナリーが持つ意味合い、その大枠は分かって頂けたと思います。
しかしながら性自認というものは私達が思っている以上に枝分かれをしており、日本と欧米ではその概念の違いから別の呼び名を持つ自認もあるくらいです。
まずノンバイナリーと特に混同しやすい性自認を解説していきますので、それらの微妙な違いついてを学んでいきましょう。
ノンバイナリーと混同しやすい性自認を解説
実は二性による性別が当てはまらないというケースはノンバイナリー以外にも存在しています。
些細な点での相違なのですが、意味を履き違えない為にもそれらをしっかり理解していきましょう。
Xジェンダー
最もノンバイナリーと類似していると考えられるのがXジェンダーです。
この言葉自体は日本でしか見られないものですが、簡単に説明すると、自身の性自認に関して男性と女性の枠外にあると認識しているセクシュアリティになります。
なんだ、ノンバイナリーと同じじゃないのと思われますね。
しかしノンバイナリーと違うのはファッションや振舞いなど表面的な性表現に関してはその点が及ばない事です。
クエッショニング
LGBTQのQに当たるのがクエッショニングです。
その字が意味するままですが、自身の性自認だけでなく、恋愛対象に関しても一定の定まりがない状態のことを言います。
セクシュアリティは流動性があるとくどく説明していますが、ようするに「これじゃないかもしれない」「本当の私じゃない」など自問をしている段階と言えばわかりやすいでしょう。
このクエッショニングの段階から、明確な性指向を持つ自認を発見したり、やはりストレートだと思い直したりすることも考えられます。
ジェンダーレス
同じような定義の連続に頭がクラクラしますが、次はジェンダーレスについてです。
英語でGenderless、この言葉は日本語でも通用しますが、要するに性別を区別しない、性別がないという意味合いで使われます。
ジェンダーレスなアクセサリー、ジェンダーレスな洋服など、つまりは男女の性別の垣根を払うという考え方が意識に埋め込まれた価値観を表します。
基本的に自身を男性とも女性とも捉えない生き方をしている為、ノンバイナリーと定義的には似ていますね。
難しいですがジェンダーレスの場合は、社会通念に捉われた在るべき性別を意識しない価値観が、性表現として強く現れる場合が多いのが特徴的です。
第三の性との違いについて
男性、女性によらない性別をしばしば第三の性と呼ぶことがあります。
今回ご紹介しているノンバイナリーやXジェンダーなどがその代表的な例です。
しかしながらその定義には別の視点もあり、これは西洋文化に慣れ親しんだ私達には少し驚きを持つ性別に映ります。
前項で少し触れた日本の御稚児さん、南アジアのヒジュラがその代表例です。
実際去勢の有無はケースバイケースですが、典型的な第三の性としていわゆる半陰陽として扱われることもあります。
アジア圏やアメリカ大陸など、思いの他に様々な形態で男性でもないし女性でもない、そんな見た目だけでは性別が分からない人々がおり、それらは数百年以上の歴史を誇る民族学的にも繋がる土着の伝統を携えているケースも数多くあるのです。
まとめ
ノンバイナリーとは性自認や性の表現が男性でも女性でもない人達のことを指す言葉。
男性と女性のちょうど真ん中あたり、もしくは男性でもあるけれど女性としての自認も強くあるなど、やはりそこにも性のグラデーションが存在しています。
Xジェンダーやクエッショニング等、ノンバイナリーと懐を分かつようなセクシュアリティもあり非常に理解しづらいですが、今回のコラムを通じ、性別の在り方に関する自認や表現に関心を持つきっかけになればと思います。
まだまだ日本ではノンバイナリーを筆頭にしたセクシュアリティについては関心こそあれど社会的な法整備や啓蒙は不十分。
まずLGBTQ当事者がこれらの定義を正しくしっかりと理解すること、それがいつかの平等社会に繋がる一歩になっていくのです。
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