LGBTQを支えるアライの存在に着目!
アライの意味や定義も分かりやすく解説します
アライという言葉を聞いたことがありますか?
ゲイやレズビアン等、LGBTQを取り巻く環境では頻繁に耳にする言葉です。
しかし、その言葉自体に聞き覚えがあっても、実際それが何を意味するのかを把握していないLGBTQ当事者は意外にも少なくありません。
ここではそんなアライについてのイロハを解説していくので参考にしてみてください。
アライとは?その意味と社会に貢献する意義を考察
日本でも同性愛者に対する寛容性、そしてLGBTQへの理解が徐々に進んできています。
保守的な日本であってもLGBTQへの関心が強まる背景として無視できない要素、それがアライの存在です。
今回の記事ではアライと言う言葉が生まれた背景、その意味合いから社会貢献に繋がるアライの活動についてを紹介していきたいと思います。
よく聞くアライ / Allyの定義について
アライの存在は見えにくいものですが、実は私達ゲイ当事者にとってアライの存在は非常に大きなもの。
ここではまずアライとは一体どのような由来を持つ言葉なのか、そして社会に対してどのような貢献をしているのかを解説していきます。
マイノリティー支援と捉えれば分かりやすい
まずアライという言葉、新井でも荒井でもありません。
この言葉の由来は英語の「Ally」から来ています。
多くの外来語がそのままカタカナ日本語として成り立っていますが、アライに関しても同様です。
同胞、協力者、または動詞として連合する、協力するなどと言った意味合いがあります。 政治やビジネス戦略でも使われる言葉ですが、今回テーマになるアライは自分が所属していない集団社会を支援するという意味合いで使われています。
つまりゲイやレズビアン、パンセクシュアルからクエッショニングまで様々な性指向を持つ人々に理解を持ち、積極的にコミュニティーに関わってLGBTQを支援するストレートの人々のことを指します。
当事者が声を上げるだけでは理解が進まない、LGBTQを取り巻く環境。LGBTQが持つネガティブなイメージを払拭し、多様性を社会に広げる為には、当事者外の無名の人々の支持、そして活動の輪が世間を変える起爆剤になるのです。
アライがもたらす世間への影響
思考の多様性、つまりは一辺倒にならない考え方や価値観、これは社会における人々の生きやすさに直結します。
LGBTQの小さなコミュニティーの中でアライが持つ大きな役割として挙げられるのが、アライという立場にいる人々が声を発することによって新しい気づきを得られること。
LGBTQ=同性愛者、そんな一言で片づけられてしまう世間において、家族の在り方は法律で定められた男女に限られるという縛られた概念に支配されると、私達当事者の声はそこまで大きく響きません。
しかし誤解されがちなLGBTQの本質を非コミュニティーであるアライの人々が支持表明することで、よりクリアにLGBTQが可視化されていくということです。
混同しがちな性指向と性嗜好、男女どちらでもない性別が存在することなど、当事者の声と同時にアライが発言することでより理解が進み、偏見をなくすことに貢献していくという訳です。
言葉が独り歩きせずに説得力を持ち、人々に新しい視点や考え方を埋め込む。きっと今の日本に必要なのはよき理解者になり得るアライの存在なのでしょう。
たとえアライと自称をしていなくとも、もしくは直接的な言葉を出さずとも、アライと分かるようなバッジやブレスレット、または虹色のグッズを身に着けるだけでも、LGBTQ当事者に大きな安心感を与えることができます。
広がるアライの活動の場
アライ、つまりLGBTQを支援し、差別偏見と闘う意思を表明している人々は一体どのような属性なのでしょうか?
個人で積極的に活動をしている学生のグループや社会人も少なくはないですが、最近はアライの場が会社や地方自治体などの大きな組織に伝播してきています。
ここでは一人一人という個人から、大きなコミュニティーにアライの精神が拡がっていった背景やそこから生まれる変化についても解説していきます。
地方自治体、市町村がアライになるケース
私達はアライです!とこれ見よがしに宣伝している地方自治体はありませんが、様々な活動を通してアライとしての役割を担っているケースがあります。
その代表的な例が地方自治体による「パートナーシップ制度」の導入です。
その効力はパートナーシップ条例で認められた区域のみになりますが、二人の関係を自治体が認めることで、賃貸への入居の際の後押しになったり、様々なシーンにおける家族割引なども利用できたりするようになります。
パートナーシップ導入地方自治体によって制度の条件が異なることや、全国のアライ都市での制度共有ができないなどの多くの改善点はありますが、LGBTQ当事者にとって生きやすさを後押ししてくれるアライの活動成果といえるのではないでしょうか。
この他にも性別や障害の有無に限らず利用ができる「誰でもトイレ」(名称は異なる場合があります)が設置されたりLGBTQに関する差別禁止を条例に盛り込んだり、公的証明書類の性別欄をなくしたりという活動も自治体によって推進されています。
国による法律改正などは時間を要し、大変な議論が必要になりますが、地方自治体の中で決定される条例に関しては当事者やアライの声が比較的届きやすく、具体的な取り組みとして消化している点は評価されるべきでしょう。
急増するアライ企業とダイバーシティー教育が生み出すもの
自治体と同様に急速にアライの活動が活発になり、ダイバーシティを推進しているのが企業です。
サービスとしてLGBTQに配慮した内容を改変したり、例えば生命保険の受け取りを同性パートナーに指定できるなど、新しい取り組みを始める企業もあります。
企業がなぜ性の多様性に着目するようになったのか。その背景を考えてみると、自社内でのLGBTQ当事者が差別や偏見に苦しんでいる可能性を考慮したいというのがまずあるでしょう。
全人口の約10%程度がLGBTQともいわれているので、実際のところ隣の同僚もしくは上司、部下がLGBTQ当事者だという可能性は決して低くありません。
会社で自分の性指向をオープンにしているケースは非常に低く、言葉の暴力や見えにくい偏見にぶつかっても、そこで声を挙げられないことがほとんどです。
だからこそ社内のアライの存在が大きくなり、彼ら、彼女たちから発せられる意見や具体案が働きやすい会社作りに繋がっていくスタート地点になっていくのです。
またアライが多い企業ではオープンな就労環境と人間関係の築きやすさから、新規採用者に向けての大きなアピールポイントにもなっていきます。
実際企業に所属する全ての人間がアライではありません。
ダイバーシティー研修などを通じて知見を深める活動をしている企業だとしても、研修内容が心に響くか、理解の眼差しを向けられるかは人次第。
中には許容まで理解が追い付かない人もいますが、それでも必ずアライはいるもの。当事者が自身の性指向を隠しているのと同様にアライも当事者にとって見えにくい、それが問題になってきます。
だからこそアライの見える化、つまり「自分なら力になれるよ」という意思をカジュアルに伝えることができる雰囲気作りを会社全体で構築していく必要があります。(Welcome, Coming Outを略して、ウェルカミングアウトと言います。)
数回の研修だけで働く人たちの心を動かすことはできませんが、アライが多くなりダイバーシティーの理解が増えることで、顧客に対しての接し方や新しい顧客戦略の開拓も開けていける、そんなメリットもあるのです。
まとめ
アライとは英単語のAllyに由来する言葉であり、LGBTQ当事者の支援者になるべく活動している人々のことを指しています。
ゲイフレンドリーはあくまで偏見はないという価値観を持ち合わせた人々のことを言いますが、アライはそれに加えて「差別や偏見をなくしたい!」というマインドのもと積極的に多様性のある社会へ貢献する意思がある人々。
なかなか自分自身はアライです!と宣言している方は多くはありませんが、彼らの存在の大きさは当事者の辛さや生きづらさを緩和する緩衝剤になり、そして社会を変えていくトリガーになっていくのです。
今後もアライの精神がより多くの人々に影響を与え、彼らの活動や声の一つ一つが大きな群像となって日本を変えていくことを願います。
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