新しい愛の形とも言われる「友情結婚」
そもそもどういうもので、する目的や特徴を解説。
友情結婚という言葉を聞くことが多くなりました。
それはメディアやSNSなどで情報発信をする当事者の声が多くなったからでしょう。
しかしなぜ結婚に友情が付属するのか?そもそも何のために友情結婚なる制度があり、そもそも偽装結婚とは何が違うのかなど、そこには大きな疑問が伴います。
ここでは昨今増えてきているゲイの友情結婚について考えていきたいと思います。
そもそも友情結婚とは?LGBTQ界隈で多発する新しい愛の形
友情結婚は今始まったことではありませんし、日本だけで行われている結婚ではありません。
実に理に適った形で行われる男性と女性の友情結婚、ここではまずその意義、目的についてわかりやすくまとめて行きたいと思います。
目的が明確な友情結婚というライフスタイル
まず友情結婚とは恋愛結婚とは異なることがポイントです。
つまり友情結婚する二人に愛情はなく、そもそも彼らを結びつける要素はお互いの利害の一致。
通常そこには性の営みはありませんし、合意の基でのオープンリレーションシップが結ばれ干渉しない生活が前提になることが大半です。
ここで友情結婚を取り入れるゲイをパターン化していきましょう。
- 子どもが欲しいゲイ男性とレズビアン、またはシングルマザー
- 世間体や親を安心させる為のツールとして
- 経済的な負担を減らす為
- 生涯のパートナーを異性に求めたい
などが挙げられます。
基本的に友情結婚のスタンスは、自身の恋愛とはまた別に精神的な愛を育む手段として認識されています。
最近は自分の老後のことを考えて、シングルでいるよりは誰かが身近に居てくれる安心感が欲しいという理由で友情ベースの結婚をする方が増えてきています。
実際に中村うさぎ女史や能町みね子女史などもゲイ男性と友情結婚をしており、それぞれ家庭にセックスや恋愛を持ち込まないなどのルールの基で、一つの家族として幸せな家庭を築いているのです。
友情結婚と偽装結婚とは違う。何がどう違うのか
友情結婚はお互いが望む利害が一致した際に結ぶ契約ですが、だからといってそれは偽装結婚ではありません。
混同されがちな友情結婚と偽装結婚ですが、偽装結婚とはいわゆるビザまたはお金目的で愛のない結婚をすることです。
特に外国で多発する詐欺の一つとして知られており、こちらは刑事罰が下されることも少なくありません。
一方友情結婚は基本的に子育てを望むゲイや老後のこと、セックスはできないけれど愛する伴侶と家庭を作りたいなど、ある目的を軸に展開される結婚生活です。
文字で書いてしまうとどこかドライに聞こえますが、様々な性指向やライフスタイルに合わせた生き方ができるツールの一つであり、偽装結婚とは違う極めて合法な結婚になります。
友情結婚を利用する方は必ずしもLGBTQの方とは限らずストレートの男女でもあえてこの結婚制度を利用して人生のQOLを向上させる方もいるのです。
幸せになれるのか?友情結婚で失敗しない、離婚しないコツ
同性結婚ができないけれど、友情結婚をして最高の家庭を築けたゲイがいる。
その一方で、思い描いた家庭がそこにはなく、泣く泣く離婚をしたカップルもいることでしょう。
長い人生で結婚は必ずしも必要だとは限りませんが、それでもゲイ男性が彼氏との恋愛を楽しみつつも友情結婚を視野にいれる方も少なくないのです。
ここでは果たして友情結婚をすることで本当に幸せになれるのか、という究極の疑問について考えていきたいと思います。
セックスに恋愛を持ち込まないスタンスが離婚率を下げる!?
友情結婚は恋愛結婚と比べても、失敗つまりは離婚に繋がる可能性が低いということが度々語られますし、実際経験者の声を聞いても非常に満足している評価が多い点は無視できません。
基本的にストレートの恋愛の関係性の行く先には、婚約→結婚→出産→子育て→老後などの既定路線が用意されています。
しかし一方で恋愛によらない、つまりはセックスを前提としない友情結婚の場合は、何事にもルール作りが必要不可欠になります。
通常のカップルが行うようなゴミ出し、料理当番に経済的な負担だけでなく、家庭内でのパートナーの恋愛処理、どこまで互いのテリトリーに踏み込めるかなどなど……。
勿論ゲイ男性と女性パートナーが子どもを希望するのなら人工授精にトライするのか、ドラマのようなスポイト受精にファーストトライをするべきか?また同居、別居問題に友情結婚の事実をどこまで口外するのかなどなど、話さなければならない、解決していかなければならない問題が山積みです。
しかしそれらを一つずつ話し合いを通して解決していくうちに、自然とお互いの欲求、ニーズをナチュラルに受け入れられるようになり、その結果として細く長い関係性を保てるようになるのです。
まとめると友情結婚のメリットとしてセックスレスや不倫などの心配が一切排除されること、そして自身の恋愛を楽しみながらも精神的な愛情を家庭内で育めること、これが大きなポイントといえるでしょう。
友情結婚に特化した斡旋サービスの充実が質の高い出会いを生む
利害の一致がハッキリしている友情結婚が上手くいく理由の一つとして、それをバックアップする斡旋事務所の力が働いていることも無視できません。
実際掲示板スタイルではなく、また男性同士のパートナー探しを援助するのとも異なる。つまりは友情結婚にフォーカスした有料の相談所の存在の大きさが満足度の高い結婚生活を生んでいるのです。
一言で友情結婚といっても、お互いの年齢や嗜好に趣味、価値観は非常に大切な要素になります。
つまり一人で結婚相手を探すのとは異なり自分が望む希望をヒアリングし、それを許容できるパートナーを紹介してくれるからこその高い幸せ指数なのでしょう。
友情結婚を酸いも甘いも熟知した親友と誰しもが行なえるわけではありません。
結婚という契約であることには変わりない為、そにに離婚という危機が訪れることも勿論あります。
しかしそのリスク要因を極力排除できるのが、友情結婚に特化した相談所の強みと言えるのでしょうね。
失敗するケースを検証
しかしそれでも友情結婚が失敗に終わり、泣く泣く離婚届に判を押すことになったカップルもいます。
やはりお互いを分かち合えなかったと穏便に離婚に終わる方もいれば、泥沼の裁判劇の末に慰謝料を支払うことになるケースも。
二人の関係に亀裂が入る原因はそれこそ十人十色であるので、明確な理由を述べることはできません。
しかし共通しているのが結婚後のコミュニケーション不足、結婚をしたことで満足してしまったがゆえの相手への思いやりの欠如が挙げられます。
友情結婚は恋愛感情がないがゆえに、お互いを繋ぐ確かな絆があいまいになりがち。
だからこそ飾らない自分をさらけ出す勇気、そして相手を気遣うこと、これが精神愛を高めるポイントになってきます。
傷ついた時、落ち込んだ時に慰めてもらう都合のいい存在じゃない、お互いの傷をなめ合うだけの存在じゃない!友情結婚を失敗させない為にも自己分析、寛容な心と思いやり、そしてルールの徹底死守、これらが大切になってくるのです。
まとめ
実際友情結婚は言葉ほど、社会に浸透していませんし、そこに誤解や差別、軽蔑の目が向けられることもしばしば。
ゲイやレズビアンに対する風当たりこそ弱まってきた昨今ですが、ゲイ男性と女性による友情結婚は未だに理解されにくい側面があることには変わりありません。
同性結婚をしている私がこんなことを言うのもあれですが、人生において結婚が必ずしも幸せなレールになるとは限らないということ。
しかし生きづらい現代社会で最愛の伴侶を友情結婚という手段で見つけ、そして二人三脚で幸せを形にしていく。
これは何度もいうように色々な性カテゴリーの人々が息づく現代では、理に適った制度であり、そしてこれからよりニーズが高まるとも考えられます。
友情結婚に賛否両論があるのは事実ですが、マイノリティーが抱える不安や希望、それらをパートナーと共に乗り越えていけるのならばそれこそ自分らしい生き方につながっていくのではないでしょうか?
リザライのコンシェルジュがYoutubeを始めました
- LGBTカップルを100組以上成立させた
伊原と山田の2人がお悩み相談や
対談・インタビューなどを発信する
リザライ公式YouTubeチャンネルです。
リザライチャンネル・最新動画
この記事と類似テーマの記事
- 現役ゲイカップルが語る!代理出産で子どもを迎えるまでパート1
- 私はスペインの旦那とスペインで生活する日本人のゲイですが、私達は結婚当初から子どもを育てるという大きな夢を持っていました。結婚10年目が目前に迫る中、ようやく子どもを迎える決意と環 ...
- 知ってましたか?同性愛の受容度は、実は日本は36ヶ国中25位という低さ
- 経済協力開発機構(OECD)が2019年4月1日に発表した「図表で見る社会2019(Society at a Glance 2019)」によると、LGBTと自認する人の割合が増加傾 ...
- 海外における同性婚と事実婚(パートナーシップ)の違いとは?
- 「同性愛者は結婚できないもの」 こんな固定概念は崩れ、多くのゲイカップルが法の保護のもとで愛を育んでいます。 日本では同性婚が認められていませんが、欧米の多くの国で同性同士の結婚、 ...
- ゲイカップルの子作り事情!ビアンと協力?それとも代理母出産?
- 映画のようなゲイカップルと子どもたちの家族構築、それは決して無理難題な夢物語ではありません。でもどうすればよいのでしょうか。 LGBTQ界隈でしばしば大きな議論の的になるゲイカップ ...
- アジア初!同性婚が合法化され可能となった台湾について紹介
- 日本で2019年2月、同性婚を認めないことの違憲性を問う初の訴訟が起こされました。 原告となったのは全国13組のカップルで、4地域(札幌、東京、名古屋、大阪)の地方裁判所において国 ...