価値観の合う人と仲良くすれば良い。
無理にゲイ友を作らなくてよい5つの理由

ゲイの方から「ゲイの友人がひとりもいないんです」という悩み相談を受けたことがあります。
彼は自分がゲイなのに、ゲイの友人が皆無というのはおかしいのではないか、と考えているようでしたが、意外とこの悩みを抱えている方は多いように感じます。

私は彼には「必要としていないのなら、わざわざゲイの友人を作るために努力しなくても全然大丈夫だと思います」とお答えしました。

考え方やスタンスは色々あるかとは思いますが、筆者としては、ゲイ友はいれば良いけれど、無理して探したり作る必要はないというのが筆者のスタンスです。

ゲイのことはゲイにしか分からない。というのは確かに事実かもしれませんし、ゲイ特有の悩みなどはゲイにしか相談しにくいという事もあるため、ひとりくらいはゲイの友人がいた方が良いという意見もありますが、わざわざ一生懸命探してまで「ゲイ友を作ろうとは、しなくてもよいのではないかと思っています。

今回は、そんな無理にゲイ友を作らなくても良いと考えている理由をお伝えしようと思います。

理由1. 仲良くなれるとは限らない

ゲイというのは、一言で言うならば、男性を好きな男性のことです。
そのため逆に考えれば、ゲイといえども共通点は基本的にはこの一点だけしかないとも言えます。

そのため、同じゲイだからといって仲良くなれるとは限りません。
世の中にはおよそ人口の5%程度の同性愛者がいると言われていますが、日本の人口が1億2,000万人だとして、その5%となると600万人になります。

同性愛者のうちゲイとレズビアンで単純に半分と仮定して計算すると、国内だけでもゲイは300万人が存在する計算になります。

ゲイでも年齢も好みも趣味も千差万別

300万人が多い少ないというのはこの際は置いておき、それだけの人数がいるとなれば、当然ながら価値観や考え方などはそれぞれ異なります。
また、当然ながら年齢も10代もいれば60代もいますし、アウトドア派もいればインドア派もいたり趣味なども千差万別です。

そのため、「ゲイだから」という括りだけで、仲良くなれるというわけではありません。
この場合、ストレートの男性や女性に置き換えて考えてみると分かりやすいかもしれません。

ストレートの男性は女性を性的な対象としてみています。
だからといって同じストレートの男という理由だけで、友達になれるかを考えてみればすぐに分かるはずです。

もちろん、中には親友と呼べるほどの仲の良い友人がいるかもしれません。
ですが、それは女性が好きだからという共通点によって、生まれた友情などではないはずです。

気の合う友人というのは、学生なら同じ部活だったとか、同じクラスだった、社会人なら同僚で一緒に苦難を乗り越えたり、共通の趣味があったなど、たくさんの知人の中のごく限られた一握りの人だけだと思います。

そのため、ただ同じゲイというだけで、友人になれるとは考えてはいけません。
確かに同じ特有の悩みや考えなどを持っているかもしれませんが、それ以外ではあなたとは考え方や価値観が違うかもしれないのです。

ですから、仮にイベントやパーティーなどに参加して、多くのゲイと会ったとして、その場で友人になれそうな人を見つけられなかったとしても、問題はありませんし落ち込んだりする必要もありません。

ゲイだからといって、それだけを理由に無理して仲良くしようと思う必要はないのです。

理由2. 友人関係を維持するのは難しい

もしかしたら、これはストレートの異性愛者にはあまりないゲイ特有の理由かもしれません。
ゲイは、当然ながら男性を好きな男性のため、ゲイがゲイ友を探すという事は、恋愛対象になりうる人と友人関係を築くということに他なりません。

ストレートの場合、どれだけ仲の良い友人であっても、恋愛感情を抱く事はありません。
さきほどの例を挙げると、厳密に言えばちょっと異なるかもしれませんが、ストレートの男性が女性と友情を育もうとしているのに近いかもしれません。

様々なメディアでも男女の友情は成り立つかといったテーマは人気でもありよく答えが分かれるテーマでもありますが、恋愛対象になる可能性が少なからずある人と友人になるというのは、なかなか難しいことだったりもします。

ゲイがゲイと友人関係を続ける場合、友情がいつしか愛情に変わってしまうことがままあります。
どうでも良い人と友人になったりするはずは基本的にはありませんから、そもそも友人になるという時点で、ある程度は自分にとって価値観や考え方、何かしらプラスの感情が働いているはずです。

そのため、友人になっている時点でウマが合っているという状態の中、さらに人柄や性格をより知っていく上で好きになってしまったり、落ち込んでいるときに励ましてくれたりといったような、何かの出来事がきっかけで恋愛対象として見るようになってしまう事があり得ます。

これは男女の友情でも同じですね。
全く好きでもなかったただの友人と思っていた相手であっても、たまたま自分が困った時に助けてくれた時や何かの拍子に恋愛感情を抱いてしまうというのは実際にはよくある事です。

そうなってしまうと、良い悪いは別として、純粋な友人関係とは言えなくなってしまいます。
もちろんゲイ同士でも親友と呼べる関係性があると思いますが、一対一の場合にはちょっとした努力が必要かもしれません。

理由3. 距離感が近すぎて疲れてしまう

これもゲイ特有の悩みとも言えるのかもしれませんが、よくゲイ同士の友人関係の悩みの1つとして挙げられることに、「関係性がべったりしすぎて、ちょっと疲れてしまう」というのがあります。

これはどういうことでしょうか。
ストレートの男性や女性は、今の社会では多くの方が20代や30代のうちに結婚したり、子供が生まれたりします。

そうなってくると、プライベートの時間の多くを家族のために費やさなくてはならず、友人とばかり会ったり遊んだりという事はなかなかできなくなります。
実際、会社などでも結婚後や子どもが産まれてから付き合いが悪くなったと言われる人は多くいるかと思います。

ストレートの男性や女性の場合は、結婚したり子どもが産まれるというライフステージの変化で、友人との付き合いから家族との付き合いへよりシフトしていく事になりがちです。

一方で、ゲイの場合は結婚という制度などはありません。
パートナーシップ制度はあったりはするものの、基本的には新たな家族ができるということがなく、プライベートの時間を自分のためだけに充てることができますし、収入の全てを自分のやりたいことに使えます。

そのため、ゲイ友と海外旅行に行ったり、ゲイサークルで楽しい週末を過ごしたりと、いわゆるリア充な日々を送っているゲイも多くいます。
ですが、その一方で会う頻度や連絡を取り合う頻度が多すぎて、気疲れしてしまう人もいます。

例えば、ゲイサークルのなかには、誰かの誕生日が来ればその度にパーティーを開いてプレゼント交換をするというサークルもあったりします。
もちろん、誰かの誕生日を祝うということ自体は素晴らしい事だとは思いますが、人数が多くなればなるほど大変になってしまいます。

人数が数人なら年に数回ですが、これが2桁人数を超えてきてしまうと、毎月のようにパーティーが開かれる事になりますし、当然そのたびに出費もかさみます。
そうなるともはやプライベートは誰かの誕生日パーティーへの参加ばかりになり、週末にサークル活動以外の時間が取れなくなったりすることもあるのです。

同様にゲイ友と毎日twitterやLINEで連絡を取り合うのが面倒になってくる人もいます。

世の中で言われているSNSですね。
こうなってしまうと、もはや友人関係が面倒となってしまうかもしれません。

人間は人とのコミュニケーションがあるから生きていける、とも言われますが、やはり適度な距離感は必要です。
特にゲイの場合は、ゲイ同士の友人となると作れる可能性でみれば、ストレートの男性と比べてもはるかに低くなるため、つい距離感が近くなりがちです。

適度な距離感を保つのが難しいようなら、無理にゲイ友を作る必要はありません。

理由4. 恋愛の話に終始して飽きてしまう

これだけLGBTという言葉が浸透していても、カミングアウトしてるゲイがごくわずかという今の世の中では、好きな男性の話や恋愛の話はゲイにしか言えない、というゲイがほとんどではないでしょうか。

それが原因なのかもしれませんが、ゲイ同士の会話は、多くの時間が恋愛関係の話に割かれていると言われます。

ストレートの男性が女性の話で盛り上がるのと似ているかもしれませんが、ちょっと違うのは、ストレートの男性の場合も多くは20代~30代あたりで結婚を迎えます。
そうなった既婚男性の場合、本気で誰かと付き合いたいというよりは、女性の話で盛り上がっても「あの子可愛いよね」程度の話であることが多いです。

しかしながら、一方でゲイには同性パートナーシップ証明制度はありますが結婚制度はありません。
そのため、基本的に恋愛しようと思えば、10代でも20代でも、50代でも60代でも、いつでもできる状態なのです。

結婚制度があれば、相手がいて恋愛をすると不倫となって、慰謝料などの代償を払うことになりますが、ゲイには結婚制度がなく、相手がいたとしてもよほどの事がない限りは浮気などで片付けられてしまいがちです。

そういうこともあり、ゲイ同士の会話は恋愛の話に花が咲くのかもしれませんが、友人と会うたびに「彼氏できた?」「どういう人が好き?」といった話ばかりというのは、しまいには飽きてしまうという人もいます。

理由5. 恋愛関係でこじれることがある

筆者の知り合いに「自分が付き合っているパートナーは、絶対にゲイの友人には紹介しないし、顔も見せない」と決めているゲイがいます。

これはなぜかというと、以前にその人が彼氏を友人に紹介したところ、その友人が彼氏と浮気したからとのことでした。
これも友人関係と恋愛関係をともに同性間で育むゲイだからこそ起こりうることかもしれません。

また、別の知り合いのゲイの話になりますが、自分たちカップルと、友人カップルの4人で仲良くしていたところ、自分の相方と友人の相方が盛り上がってしまい、結局どちらのカップルも別れてしまったといった事がありました。

また、参加人数の多いゲイサークルやゲイコミュニティでは、やはり恋愛関係で揉めるケースやトラブルになるケースも割と普通にあるようで、このあたりもゲイ友という関係性の難しさを物語っているのかもしれません。

まとめ

ここまで「無理にゲイ友を作らなくて良い5つの理由」をお伝えしてきましたが、良好な関係性を保てるのだとしたら、自分のライフスタイルや性的なことを包み隠さずに話せるゲイ友は、大切な存在になり得ると思います。

ゲイであれば、やはりゲイならではの悩みというのは誰しも持っているはずです。
そういった悩みは、女性が好きな男性に相談する事はできませんから、ゲイの友人がいてその友人に相談したり悩みを話せるいうのは心理的にも精神的にも助かるものです。

しかしながら、ただゲイだからという点で友人関係を作っていくのはおすすめしません。
どんな人と、どういう友人関係を築いていくのか、それはあなた自身がしっかり考えて決めなければなりません。

今回の記事がゲイ友について考えるきっかけになれば幸いです。

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この記事を書いた人

いなば

いなば
神奈川県生まれ。小学生の頃から何となくゲイだと気付き、中学高校と男子校で過ごすなかでセクシュアリティーを確信。大学在学中に母親へカミングアウト済み。
20歳で初めて自分以外のゲイと出会う。
相方の海外駐在に伴い、退職して赴任先へ付いていったことも。
生意気で向こう見ずなクソガキ時代から年齢を重ね、徐々に穏やかで楽天的な性格に。元新聞記者で現在はライター・カメラマン・インタビュアーとして活動する東京在住の40代ゲイ。

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